慰安婦問題について、いろんな報道: 【宮家邦彦のWorldWatch】「一つの中国に縛られない」の真相は… 次期大統領トランプ外交チームは3つに分裂・迷走 もはや一貫性は期待薄。習氏悩ますトランプ流(ニュース解剖) 「一つの中国」も取引材料に。

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2016年12月22日木曜日

【宮家邦彦のWorldWatch】「一つの中国に縛られない」の真相は… 次期大統領トランプ外交チームは3つに分裂・迷走 もはや一貫性は期待薄。習氏悩ますトランプ流(ニュース解剖) 「一つの中国」も取引材料に。


2016.12.22 09:01 2 3 産経ニュース
ドナルド・トランプ氏、第45代米大統領に
【宮家邦彦のWorld Watch】
「一つの中国に縛られない」の真相は…
どうやら米国の次期大統領は本気らしい。
2日の台湾総統との電話会談に続き、
11日には対中爆弾発言が再び炸裂(さくれつ)した。
トランプ氏はFОXテレビのインタビューで
「貿易などの問題で中国と合意でもしない限り、
なぜ『一つの中国』政策に縛られる必要があるのか
自分には分からない」と述べたのだ。

 前回、米台電話会談は米中国交正常化以来
最大の外交的サプライズと書いたが、
中国側反応は総じて抑制されたものだった。
一方、「一つの中国」政策自体を疑問視する今回の発言は
偶然の産物や「台湾の小細工」などではあり得ない。
このトランプ氏の確信犯的発言は、
「国際社会に既に根付いた枠組みは不変であり、
米国の政策が変わるとは思わない」といった
中国側の希望的観測を根底から覆すものだ。
さすがの中国も今回は具体的報復措置をとるかもしれない。
先週は中国共産党を研究する誰もが、
そうした事態を懸念し始めていた。

 案の定、今回中国側は素早く動いた。
あの爆弾発言から4日後の15日、
中国人民解放軍海軍はフィリピン本土に近い
南シナ海公海上で米海軍の無人潜水探査機を
奪取するという前代未聞の挙に出た。
中国国防省は、「不審な装置を発見し
、船舶の航行と人員の安全に危害が及ぶのを防ぐため
識別調査した」と述べたが、これが一連の
トランプ言動に対する
中国側の警告的報復であることは明らかだ。

 それでも中国側の対応は抑制されたものだった。
公海上で他国の調査機材を理由もなく奪取する行為は
国際法違反だが、中国側は直ちに「返還」に言及したからだ。
この問題で米国と軍事的緊張を高める意図はないのだろう。
これまで中国側の報復内容として予想されていたのは、
対米国交断絶などの外交的措置、対米・台湾企業への
制裁などの経済的措置、台湾や南シナ海での
物理的挑発などの軍事的措置だった。

 中国側が今もトランプ政権との
対話の余地を残そうとしているらしいことは、
不幸中の幸いだろう。
それにしても、トランプ政権の
外交安保チームは一体何をしているのか。
現在同チームは3つのグループに分かれ、
迷走しているとの見方が有力だ。

 第1のグループはトランプ主義者、
すなわち「米国第一」で、
「応分の経済的負担をしない同盟国は守らない」と考える
トランプ氏のクローンたちだ。
彼らには同盟国の防衛義務が米国を偉大にするという
発想がなく、外交安保上の利益を
交渉の取引材料と見る傾向がある。

 第2のグループは新十字軍の戦士たち、
すなわち米国に対する最大の敵を中東のイスラム教過激主義と考え、
テロとの戦いを最優先する元軍人・文官のグループだ。
彼らは同盟国の重要性こそ理解するものの、
中露の力による現状変更を同盟国と協力して抑止することよりも、
中東でのテロリスト掃討作戦を優先するらしい。

 第3のグループはワシントンの伝統的外交安保政策関係者のうち
トランプ候補を忌避する公開書簡に署名しなかった
日和見の権力亡者たちだ。
トランプ外交の成功にとっては不可欠な人材だが、
彼らが大統領府の中枢に入る可能性は低い。
実務経験の豊富な彼らが重用される保証はないのである。

 さらなる問題は、これら3グループが共通認識を有するどころか、
相互に不信感を持ち、
一貫性ある政策立案・実施を期待できそうにないことだ。
それでは、トランプ氏に台湾総統の電話を取り次ぎ、
「一つの中国」政策を疑問視させた連中はどのグループに属するのか。
彼らの政権内での役割は何なのか。ネオコンにも近く
親台湾・反中国である彼らは第1グループの周辺にいるというのが
現時点での筆者の見立てだが、主導権争いが迷走すれば、
いずれ東アジアを不安定化させる可能性がある。
やはりトランプ外交チームの動きは要注意だ。
                   ◇
【プロフィル】宮家邦彦
 みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。
栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。
中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、
平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。
現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

習氏悩ますトランプ流(ニュース解剖)  米次期大統領、トランプと
中国国家主席、習近平が激しい神経戦を演じている。
トランプは台湾総統、蔡英文との歴史的な電話会談に踏み切り、
「一つの中国」さえも経済問題などの取引材料だとした。
助走段階から不協和音が聞こえるトランプ時代の米中関係。
その実相を追った。=文中敬称略

 「南シナ海で米中が戦争か」――。
アジアの一部メディアが派手に伝えた事件は
20日、中国軍が奪い取った米国の無人潜水機を返還し、決着した。
海中で情報を集める米軍と、それを実力で阻止した中国軍。
一連の動きは、原子力潜水艦がせめぎ合う
米中軍事対峙の危うさを浮き彫りにした。

■政権移行期狙い挑発
 中国は、トランプの「無人機が盗まれた」とのツイッターでの言及に対し、
「路上で物を拾ったら(所有者などを)調べなければならない」と主張した。
だが450メートルという近さにいた米無人機の母船は無線で返還を求めていた。
所有者を知りながら持ち去れば窃盗である。
中国軍の明らかな挑発だった。

 しかも、場所はフィリピン・スービック港の北西90キロの公海上で、
中国が一方的に管轄権を主張する「九段線」の外だ。
中国が埋め立てを狙うスカボロー礁にも近い。
中国側の意図は何か。
その背景には、米国と軍事協定を結ぶフィリピンの大統領、
ドゥテルテが突然、中国に急接近したことがある。

 「中国軍は今ならフィリピン近海で米軍に手を出しても安全だと踏んだ。
米政府とドゥテルテの反応を試したのだ」
「米軍が動きにくい政権移行期を利用し、
中国軍がスカボロー礁周辺を仕切る既成事実をつくりたい」。
南シナ海問題の専門家らは中国の狙いをこう指摘する。

 17日、ドゥテルテは7月の仲裁裁判所判決に絡み
「中国にいかなる要求もしない」と述べ、米国との共同歩調を否定した。
スカボロー礁の埋め立てをあきらめていない中国にとっては、
狙い通りの展開だ。米側の反応が限定的なうちに
無人機を早期に返還しても目的は達成したことになる。

 中国軍は東でも駒を進めていた。
10日、中国空軍の編隊は沖縄本島・宮古島間の「第一列島線」を突破。
台湾・フィリピン間のバシー海峡を抜けて、台湾を取り巻くように飛んだ。

 航空自衛隊のF15が緊急出動。
米軍は無人偵察機グローバルホークで高空から中国軍を監視した。
台湾紙、聯合報の報道だ。
中国軍は日台に圧力をかけ、背後の米軍の動きを探った。

中国空軍、宮古島海峡編隊飛行、米無人潜水艦捕獲

 中国には別の政治目的もあった。
接近する日本の首相、安倍晋三と
ロシア大統領、プーチンへのけん制球だ。
2人が日本で会談した前後、中国軍のリークとされる
奇妙な軍事映像がインターネット上に出回った。

 「我が軍のスホーイ30戦闘機が(日本の)F15を狙う」。
中国機の脇を飛ぶF15の映像説明は刺激的だ。
しかもスホーイ30がF15を
「ロック・オン(照準の固定)」との表現まである。

 映像リークの思惑を中国の安保関係者が解説する。
「注目点は、映像で中国がロシアから導入した
スホーイ30を確認できること」。
スホーイ30は中ロ「準軍事同盟」の証しだ。
日ロ会談中にプーチンは中国陣営にいるとアピールしたのだ。

 習近平は唯一の盟友、プーチンの動向が気になる。
トランプもエクソンモービル出身でプーチンと親しい
ティラーソンを次期国務長官に指名した。

 「トランプはプーチンを利用して中国に圧力をかけかねない」。
中国のシンクタンク内では警戒の声も上がる。

■中国不動産王の脅し
 中国が当初、トランプ当選を歓迎したのは、利で動く「商人」と見たからだ。
中国に厳しいヒラリーとは違う。ニンジンをぶら下げて
陰に陽に圧力をかけ、取引に誘い込めば中国有利に動かせる。
2015年10月25日 withnews
中国一の富豪、王健林氏とは?資産4兆円、

そんな読みがあった。中国は資金力なら絶対の自信がある。

 中国の戦術の一端が垣間見える動きがあった。
主役はトランプの向こうを張る中国一の不動産王、王健林だ。
「我々は米国に100億ドルを投じ、2万人超を雇っている。
うまくいかないなら2万人が食いぶちを失う」。
商業用不動産で中国トップの大連万達集団
(ワンダ・グループ)を率いる王健林は10日、北京で言い放った。

 中国の利益を侵せば投資を引き揚げる。
それは単なる脅しではない。
大連万達は既に米大手映画館チェーンAMCエンターテインメント
映画バットマンで知られる米映画製作会社、
レジェンダリー・エンターテインメントを買収した。

 関係者は、裏に控える共産党の意向を指摘する。
大連万達は民間企業だが、中国の高級幹部の子弟を指す
「太子党」と関わりが深い。
王健林は習近平の姉の夫の会社が
以前、同社株を持っていた事実も明かした。

 トランプは旧来の枠組みを軽々と超え、
「一つの中国」まで取引材料だとする。
巨額の対中貿易赤字、関税、為替操作……。
これらも皆、取引の対象になり得る。「利にさといビジネスマン」。
そう甘く見ていたトランプが本領を発揮し、
習近平が手を焼く構図だ。

 来年後半、中国は最高指導部人事を控える。
権力闘争が山場を迎える頃、
習近平が海洋で強硬策に出る可能性は残る。
2012年の最高指導部人事の直前、
中国は尖閣諸島問題で突然、強硬姿勢に転じた。
反日デモで日本企業に多大な被害が出たのは記憶に新しい。

 トランプは次期国防長官に「狂犬」の異名を持つ
元中央軍司令官、マティスを指名した。
アフガニスタン、イラクで戦った
経験豊富な元軍人を相手にする「火遊び」は危険だ。
トランプの大統領就任後、南シナ海に変化があるのか、目が離せない。

 米中ロ「三角関係」の先行きは読みにくい。
日本もどんな展開にも対応できる入念な準備が要る。
旧来の発想にとらわれない柔軟な外交戦略が求められる。
(編集委員 中沢克二)

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