慰安婦問題について、いろんな報道: プーチン露大統領に贈った秋田犬「ゆめ」生きていた! 日本メディアのインタビューに登場。みずほ銀、ロシア最大手銀とフィンテックで業務協力 先端技術や顧客サービスで。ロシア進出の日系企業 懸念材料に不安定な為替など。プーチン大統領と会見、4島交渉「別の問題」。日本テレビ、プーチン大統領と会見、平和条約「条件整備を」。プーチン露大統領インタビューの詳報。プーチンは2島返還準備、日本も政治神話解体を 12月15日山口会談で領土問題解決への具体的な一歩を。

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2016年12月14日水曜日

プーチン露大統領に贈った秋田犬「ゆめ」生きていた! 日本メディアのインタビューに登場。みずほ銀、ロシア最大手銀とフィンテックで業務協力 先端技術や顧客サービスで。ロシア進出の日系企業 懸念材料に不安定な為替など。プーチン大統領と会見、4島交渉「別の問題」。日本テレビ、プーチン大統領と会見、平和条約「条件整備を」。プーチン露大統領インタビューの詳報。プーチンは2島返還準備、日本も政治神話解体を 12月15日山口会談で領土問題解決への具体的な一歩を。

プーチン大統領から餌をもらう秋田犬「ゆめ」
=7日、モスクワ・クレムリン(AP)
ロシアのプーチン大統領は日本の一部メディアとの会見の際、
2012年に秋田県から贈られた雌の秋田犬「ゆめ」を連れて現れた。
ロシア大統領府が13日、写真を公開した。
<まんがで解説>プーチン大統領ってどんな人?

 ゆめは14年2月にロシア南部ソチでプーチン氏と会談した
安倍晋三首相を出迎えて以来の登場。
写真からは、ゆめがプーチン氏になついている様子がうかがえる。

 日本政府は15日からのプーチン氏訪日に合わせ、
ゆめのペアとなる秋田犬の贈呈を計画していたが、
プーチン氏側が断った。(共同)

秋田県の佐竹敬久知事がロシアのプーチン大統領に贈った
秋田犬「ゆめ」(雌、4歳7カ月)が生きていたことが分かった。
ゆめの消息は、2014(平成26)年2月にロシア南部ソチの
大統領公邸で行われた日露首脳会談の際、
大統領と一緒に安倍晋三首相を出迎えて以来、
3年近く分かっていなかった。

 ゆめは、一部日本メディアがモスクワ・クレムリンで行った
インタビューの際にプーチン氏とともに現れた。
AP通信やロイター通信は、
プーチン氏とゆめが戯れる写真を配信した。

 ゆめは12(平成24)年、東日本大震災後の支援に対する
東北地方からのお礼として佐竹知事からプーチン氏に贈られた。
プーチン氏からは返礼として
雄のシベリア猫「ミール」が贈られ、知事公舎で飼われている。

 15日からのプーチン氏の日本訪問に合わせ、
ゆめの「婿」として雄の秋田犬を贈る計画があったが、
ロシア政府は断っていた。 
ロシアのプーチン大統領の訪日を前に、みずほ銀行は
14日、同国最大の商業銀行、ズベルバンクとの業務協力協定を
13日付で変更したと発表した。
新たにITを駆使した革新的な金融サービス
「フィンテック」分野での協力関係を深めていく。

 みずほ銀がズベルバンクと最初に協定を結んだのは2011年9月。
これまでにルーブル建て送金・為替、現地での融資など
幅広い分野で協力してきた。
契約変更に伴い、今後は金融先端技術の技術支援に取り組むほか、
フィンテックの手法を活用しながら
相互に顧客向けサービスの向上を図る。

 ロシアでは今後、日系企業による
貿易や投資が活発化することが期待されている。
みずほ銀は日系企業の事業拡大を支援するだけでなく、
ロシアの経済発展に貢献することで、成長を取り込みたい考えだ。

ズベルバンク、年内に日本の国際協力銀行から円建て融資を取得
「領土問題に関する交渉の促進を期待して」
年内にロシアのズベルバンクに40億円の融資を行う。
英文ビジネス誌日経アジアンレビューが報じた。
融資はズベルバンクからヴォストーチヌイ港の運営会社に送られ、
費用は必要な燃料装置を購入するのに用いられる。

ロシアへの制裁は円建て融資に関する規定を含まないが
日本の銀行はロシアへの融資に消極的という。
米国の機嫌を損ねることを各行は恐れているのだという。 
JBICはこの傾向に逆らって、クリル岩礁のロシアが管理しており
日本が領有権を主張している諸島の問題での交渉に進展を見たい考え。
それに対する「新たなアプローチ」として安倍首相が
プーチン大統領に提案した8項目の枠内での融資であるという。

JBIC、極東発展基金、極東投資・貿易開発庁

極東開発基金総裁アレクセイ・チェクンコフ氏

JBICとの協力はロシア極東への投資を誘致するだけでなく、
2016年09月23日 22:32 Sputnik日本
極東開発基金総裁アレクセイ・チェクンコフ氏は
スプートニクのインタビューで、JBIC(国際協力銀行)との合意は
ウラジオストクで9月2・3日に開催された東方経済フォーラムの
最重要合意の一つであると述べた。
同行は海外投資を行う日本の主要な国立金融機関。
同行が長い間ロシアで働いており、
ロシアで日本の投資政策を調和的に実現できることも重要だ。
「私たちの合意の意義は、

長らく極東開発基金の検討に付されている
すべての投資プロジェクトを、我々は最初から
日本企業にとっての関心と
収益性のフィルターを通すようになるということだ。
JBICは私たちに、彼らが必要とするパラメータを教えてくれるだろう。
我々は契約を、ビジネスプロジェクトが当初から
JBICのクライアントである日本企業の投資の実現にとって
最も有益なものであるように、極東開発基金と
JBICの要求を考慮に入れた上で構築するようになる」合意調印後、
JBIC銀行との協力について、アレクセイ・チェクンコフ氏が述べた。

スプートニク:東方経済フォーラムの最初期のブリーフィングで
アレクサンドル・ガルシカ・ロシア極東発展相は、
JBICに続いて数十あるいは数百もの日本企業が
ロシア市場に参入する可能性がある、と述べた。
あなたはどういう期待をお持ちか。 
「ロシアにとっては迅速な成功が得られることが非常に重要だ。
アジア人のメンタリティーは、逆に、急激な動きを希望せず、
確実で実績のあるレシピの繰り返しを希望する。
私たちは今、先例を作ろうとしており、これが成功したなら、
我々は成長を見るだろう。
開始時に失敗しないことが非常に重要だ。
ゆえに我々は、今特段の慎重さをもって
このプラットフォームを通じて実現される
最初のプロジェクトの選定にアプローチしている。
私たちは、もちろん、すでにある種の「ショートリスト」を持っており、
それを今、JBICと議論しているが、私は他ならぬ
このプログラムが
数百単位の企業を数えることがあり得るとは思えない。
数百の企業がロシアに来ているが、
必ずしもそのすべてが極東開発基金の顧客になるとは限らない。
私たちは逆に、企業は
自分のお金で自分のプロジェクトを実現してほしい。
しかし、我々がJBICとともにモデル化し、
融資するモデルプロジェクトは、極東だけでなくロシアで働く
日本企業の「導きの星」になるべきだ」 
アレクセイ・チェクンコフ氏はまた、ロシア市場に日本企業が参入することは、
投資の観点から重要であるだけでなく、かれらの存在が
ロシア企業に日本のビジネス実施方法に親しむ機会を
与えるという理由からも重要であると指摘。
「安倍首相が壇上で述べたように、カイゼン
(恒常的な向上と完成化に基づく日本のビジネス実施システム)は
ロシアに必要だ。
この点に関して日本企業は世界最高だ」
とアレクセイ・チェクンコフ氏。

政府主導で創設された「極東バイカル地域発展基金」の
アレクセイ・チェクンコフ理事
= ミハイル・ヴォスクレセンスキー撮影/ロシア通信

極東発展基金理事にインタビュー
2016年8月29日 アレクセイ・ロッサン、ロシアNOW
 ロシア極東のウラジオストク市に近々、証券取引所「ヴォスホト」が創設される。
アジア諸国のベンチャー・キャピタルの呼び込みも主要な活動の一つ。
第2回「東方経済フォーラム(EEF)」(9月2~3日、ウラジオストク市)に先立ち、
政府主導で創設された「極東バイカル地域発展基金」の
アレクセイ・チェクンコフ理事に、ヴォスホトや他の極東のプロジェクトについて、
ロシアNOWが聞いた。

限られた時間の中で子供達に食事を提供しなければならない食堂では、
スピードが命です。富士通のPalmSecureは、支払いの自動化で
処理時間を短縮してくれました。
また、食事の購入履歴を保護者が確認でき、ファストフードや
お菓子にお小遣いが使われていないかも把握できます。
Yana Pavlova,Head of Customer Relations, Sberbank

ズベルバンク(ロシア連邦貯蓄銀行)様
ズベルバンクは、学校の食堂での注文を安全に処理できる
信頼性の高いシステムを提供したいと考え、
非接触型のID認証プラットフォームである富士通のPalmSecureを採用、
40校以上の学校に導入。子供達は、現金を持ち運ぶ必要がなくなり、
リスクを最小限に抑えることが可能に。
食堂の待ち行列の短縮につながり、お昼休み中に
確実に昼食が食べられる時間を確保。
また、両親は子供達の学校での食生活や食費の確認が可能に。

ロシア進出の日系企業 懸念材料に不安定な為替など
12月14日 4時04分 NHKニュースウェッブ
日本とロシアの経済協力の進展が期待されていますが、
ロシアに進出した日系の企業を対象にした調査で、
投資する際の懸念材料として多くの企業が不安定な為替や
煩雑な行政手続きなどを指摘しています。

この調査は、JETRO=日本貿易振興機構が、
ことし10月から先月にかけてロシアに進出している日系企業
110社を対象に行ったもので、83社から回答を得ました。

それによりますと、ロシアでの事業に向けて投資する際の
懸念材料を複数回答で聞いたところ、
不安定な為替と答えた企業が76.8%と最も多く、
次いで許認可など行政手続きの煩雑さが63.4%、
法制度の未整備、不透明な運用が54.9%などとなっています。

また、貿易面の問題点では、
通関などの手続が煩雑と回答した企業が41.5%と最も多く、
次いで、通関に時間を要するが24.4%などとなっています。
さらに、雇用面では、従業員の質を問題点として挙げた企業が
52.4%と最も多くなっていて、
ビジネスを行う環境に課題が多い実情が浮き彫りとなりました。

一方、ロシアに投資するメリットについては、
市場規模や成長性を挙げた企業が75.6%に上っており、
さまざまな課題があるものの
ロシアビジネスに対する期待もうかがえます。
しかし、近年は不景気の影響で、
新車販売台数は減少の一途を辿っている。
さらにルーブル安による輸入部材の価格上昇が追い打ちをかけ、
ロシアで自動車を生産する内外のメーカーにとって、
生産コストの抑制が喫緊の課題となっている。
そうしたなか、日本の自動車メーカーが
クロスオーバータイプの新型モデルの生産を開始、
市場の回復に向け、攻めの手を緩めない。
ロシアでのモノづくりの未来に懸けた
日本企業の現地調達の取り組みを追った。(9分30秒)

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インタビューに応じるプーチン露大統領
(7日、モスクワ・クレムリンで)=吉岡毅撮影
読売新聞東京本社の溝口烈・編集局長(中央)と
日本テレビ放送網の粕谷賢之・解説委員長(左)の
質問に答えるロシアのプーチン大統領

プーチン大統領と会見、4島交渉「別の問題」
2016年12月13日 23時14分 読売新聞
【モスクワ=花田吉雄】ロシアのプーチン大統領は
15日からの日本訪問を前に、モスクワのクレムリン(大統領府)で
読売新聞、日本テレビとのインタビューに応じた。

 日露間の懸案である北方領土問題について、
プーチン氏は国後、択捉、歯舞、色丹の4島の帰属問題を
交渉の対象とする日本の立場について、
「日ソ共同宣言」(1956年)の「枠を超える」と述べた。
安倍首相は経済協力をテコに
交渉の前進を目指すが日露の立場は隔たったままだ。

 プーチン氏は大統領府の「代表の間」で約1時間20分、
読売新聞東京本社の溝口烈・編集局長と
日本テレビ放送網の粕谷賢之・解説委員長の質問に答えた。

 安倍首相と15、16日に会談するプーチン氏は
「チャンスはある。パートナー(日本)の柔軟性にかかっている」と述べ、
平和条約の締結とその前提となる領土問題では
日本側の譲歩が必要との考えを示した。

 「共同宣言」は平和条約締結後に
歯舞、色丹の2島を「引き渡す」と明記する。

 日本はこの2島に国後、択捉を加えた4島の帰属問題を解決し、
平和条約を締結するとの立場だ。

 プーチン氏は、4島の帰属問題の提起は
「共同宣言の枠を超えている。
全く別の話で別の問題提起だ」と述べ、
受け入れられないとの考えを強調した。

 プーチン氏は安倍首相が提案した医療や極東開発など
「8項目の経済協力プラン」については、平和条約を締結する
「条件ではなく必要な雰囲気作り」との認識を示した。
同プランで経済協力が拡大しても
平和条約交渉の進展と
直結するものではないとの見解を示したといえる。

 プーチン氏は平和条約を締結する「条件」として日本に対し、
北方領土で「共同経済活動」を行うよう求める考えを示した。
ただしあくまでもロシアの主権のもとで認めると主張した。

 プーチン氏はウクライナ情勢を巡り日本が
ロシアに経済制裁を続けていることについて、
「制裁を受けたまま、どうやって経済関係を
より高いレベルに発展させるのか」と述べ批判した。

 安倍首相については
「非常に信頼できるパートナー」と高く評価した。

 インタビューは7日深夜から8日未明に行った。
ロシア語での発言を和訳し、精査を重ねた。
【モスクワ=花田吉雄】ロシアのプーチン大統領は
15日からの日本訪問を前に、モスクワのクレムリン(大統領府)で
読売新聞、日本テレビとのインタビューに応じ、
平和条約の締結問題を中心に対日政策の基本方針を明らかにした。

 プーチン氏は平和条約の締結には「条件整備が必要」と指摘し、
山口県長門市での安倍首相との会談で、
北方領土での「共同経済活動」や人的往来の拡大について
合意を目指す考えを示した。
プーチン氏はウクライナ情勢を巡り日本が行う
ロシアへの経済制裁を批判した。

 プーチン氏は大統領府の
「代表の間」で約1時間20分にわたり、
読売新聞東京本社の溝口烈・編集局長と
日本テレビ放送網の粕谷賢之・解説委員長の質問に答えた。

 日本との関係について、プーチン氏は
「完全な正常化を求めている。
平和条約がない状態が続くことは時代錯誤だ」と語った。
そして平和条約の締結交渉で
「日ソ共同宣言」(1956年)を基礎とする立場をあらためて強調した。

 日露間では国後、択捉、歯舞、色丹の
北方領土の帰属問題が最大の懸案だ。

 日本は4島の帰属問題の解決を平和条約締結の前提とする。
一方、「共同宣言」は歯舞、色丹の2島だけを
平和条約の締結後に「引き渡す」と明記している。

 プーチン氏は2島に国後、択捉を加えた
4島の問題を提起することは「共同宣言の枠を超えている。
全く別の話で別の問題提起だ」と指摘し、
4島を対象とする交渉には応じない考えを明らかにした。

 またプーチン氏は「第2次大戦の結果は、
しかるべき国際的な文書によって確定していることを
理解しなければならない」と述べ、北方領土は
ロシアの領土として国際的に承認されているとの主張を展開した。

 そのうえで領土問題の解決には、両国民の
「信頼と協力」の雰囲気を高め、平和条約を締結する
「条件」について合意することが重要との考えを示した。
具体的には「南クリル(北方領土)での
大規模な共同経済活動」の実施や元島民の墓参り、
ビザなし交流などを挙げた。
ただし「共同経済活動」はロシアの主権のもとで行うとけん制した。

 安倍首相が提案した医療や極東開発など
「8項目の経済協力プラン」については、
平和条約を締結する
「条件ではなく必要な雰囲気作り」との認識を示した。

 さらにプーチン氏は
「制裁を受けたまま、どうやって経済関係を
より高いレベルに発展させるのか」と日本の対露制裁を批判した。

 一方、プーチン氏は米国のドナルド・トランプ次期大統領について
「露米関係の正常化に賛成の立場だ。
これを支持しないわけにはいかない。
当然それに賛成だ」と歓迎の意向を表明。
核拡散の防止や国際テロ対策などで協力し、
対米関係の修復を図りたいとの考えを表明した。
中国との関係については、「真に友好的な関係が形作られた。
多くの主要な分野で戦略的な性格を持った関係だ」と述べ、
「特権的な戦略パートナー」と評価した。

 インタビューは7日に行った。
プーチン氏のロシア語での発言を和訳し、精査を重ねた。

◆インタビューのポイント◆
▽日本と完全な関係の正常化を求め、平和条約の締結を目指す
▽対露経済制裁が、平和条約の締結交渉や経済協力の進展を阻んでいる
▽共同経済活動について検討する用意がある。
ただしロシアの主権の下で行う
▽安倍首相が提案した「8項目の経済協力プラン」は、
平和条約締結交渉のための雰囲気作り
▽米国のトランプ次期政権との間で、露米関係の改善を目指す

◆ウラジーミル・プーチン大統領=1952年10月、
旧ソ連レニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれ。
大学卒業後、治安機関の国家保安委員会(KGB)に勤務。
ソ連崩壊後、サンクトペテルブルクの第1副市長などを務めた。
連邦保安局(FSB)長官を経て99年に首相就任。
99年末にエリツィン大統領が辞任し大統領代行に就いた。
2000年の大統領選で初当選し2期務めた。
08~12年は首相を務め、12年に大統領に復帰した。

◆北方領土=北海道の北東沖にある歯舞、色丹、国後、択捉の4島。
1945年8月15日に日本が降伏した後、ソ連が4島を占領した。
日本は「4島は固有の領土」との立場から返還を求めてきた。
4島合わせた面積は千葉県とほぼ同じで、人口は約1万7000人。
ロシア政府は近年、大規模な開発計画を立てて
道路や港湾、住宅などの整備を進める。

2016年12月13日 17時00分 
Copyright © The Yomiuri Shimbun

プーチン露大統領インタビューの詳報<上>
2016年12月13日 17時00分 読売新聞
◆完全な関係正常化を求めている◆
 【共同宣言】
 ――今年は1956年の日ソ共同宣言の署名から60周年だ。

この歴史の節目で日本国民は
(平和条約の締結に向け)非常に大きな期待をしているが。

 100年以上にわたる両国関係の歴史全体を見ると、
この60年、様々なことがあった。悲劇的な局面もあった。
国交を回復した1956年以来、残念ながら
両国間の協力において、我々の今日の希望に沿った
適切な関係を築くことができる基礎はまだない。
当然、我々はこの(平和)条約の締結をめざす。
我々は完全な関係正常化を求めている。

 共同宣言には、両国が履行すべき、
平和条約の基礎となるルールが書かれている。
宣言を注意深く読むと、まず平和条約を締結し、
その後、宣言が発効し、
二つの島が日本に引き渡されると書いてある。
どのような条件の下で引き渡されるのか、
どちらの主権下に置かれるかは書かれていない。
にもかかわらず文書は署名された。

 署名されただけではなく、ソ連の議会であった
最高会議と日本の国会によって批准された。
しかし、その後、日本側はその宣言を履行しないと発表した。
2000年に、当時の日本の首相は、共同宣言に基づいた
交渉に戻るよう私に呼びかけた。
私は賛成した。それ以来、我々は対話を進めているが、
日本が共同宣言の枠組みの中にとどまっているとはいえない。
安倍首相と私の交渉について
予測するのは時期尚早だ。もちろん前進を期待している。

 ◆チャンスはある。日本の柔軟性次第だ◆
 【平和条約締結】
 ――今度の首脳会談で平和条約の締結にまで
持って行くことは現段階で見通すことができないと考えていいのか。
日本はこれまで4島の帰属問題の解決を求めてきた。

 もちろん、それ(平和条約締結)をめざしている。
しかし、日本のせいで交渉は中断した。
そして、日本が求めたので、我々は2000年に再び
共同宣言に基づき平和条約の締結をめざすことにした。
共同宣言には2島(引き渡し)について書かれている。
だが、別の問題提起だ。
第2次大戦という20世紀の恐るべき悲劇の結果は、
しかるべき国際的な文書によって
確定していることを理解しなければならない。

 安倍首相の故郷を訪れる中で、
この問題をどうやって解決できるか、
はっきりと理解できるようになりたい。
そうなればとてもうれしい。チャンスはあるか。
おそらくいつもある。なければ、話し合うことは何もない。
チャンスがどれくらい大きいか今は言えない。
それは我々のパートナー(日本)の柔軟性にかかっている。

 ◆トランプ氏方針 これから理解◆
 【対米関係】
 ――年次教書演説では、
「我々には世界の安全保障と安定を確保する
共通の責任がある」と述べた。
米国とどのような協力をする用意があるのか。
トランプ次期米大統領と早い時期に会うのか。

 国際安全保障の分野について言えば、
米国とロシアは依然として最大の核保有国だ。
我々は一緒に大量破壊兵器と
その運搬手段の拡散防止のために戦う用意がある。
国際テロリズムとの戦いで、我々はこれまでより
ずっと密に協力する用意がある。

 また、地域紛争の解決においても露米は、
非常に多くのことをなしうるし、宇宙開発分野でも
平和目的での協力を続けることができるだろう。

 米露両国の深くかつ根本的な利益のために
関係正常化が必要だ。

 我々は、米国の現政権とも関係を発展させたかった。
しかし、いくつかの根本的な分野については
あまりうまくいかなかった。これは我々のせいではない。

 オバマ大統領が述べたことに関係する
根本的ないくつかの問題もある。
私が言っているのは、米国は特別な国という考え方のことだ。
私はこの考え方には懐疑的だ。もちろん米国は偉大な国であり、
米国民は偉大な国民である。
疑問の余地はない。だれもそのことで論争しないが、
特別だということは全く余計だと思う。
このことは、ロシアだけでなく
(米国と)他の国との関係においても問題を引き起こすだろう。

 次期大統領の目指すところ、
すなわち「米国を再び偉大な国にする」という考え方について言えば、
彼がそれをどのように展開していくのか、
まだこれから理解しなければならない。
露米関係の発展に問題が起きないように望む。

 ◆経済関係どう発展 見極める◆
 【対露制裁】
 ――日露で指導者の支持率が高く、
日本では最近では
2島先行返還でもいいという人の声も大きくなってきた。
大統領はそれでも交渉は
なかなか前に進むことができない状況だと認識しているのか。

 安倍首相も私も自国において支持率はかなり高い。
でも、私にその支持を乱用する権利はないと考えている。

 信頼を基礎として、平和条約を締結する条件について
合意すべきである。
それは例えば、南クリル諸島(北方領土)における
大規模な共同経済活動の結果として達成できるかもしれない。
また純粋に人道的な問題を
解決することによって達成できるかもしれない。
例えば、南クリル諸島の旧島民がビザなしで
昔の居住地を訪ね、墓参し故郷を訪れることなどだ。
それは我々が検討し
一つ一つ解決する大きな問題のパッケージだ。
2000年に交渉が再開された後、
我々は平和条約の締結に向けた交渉を拒否したことはない。

 日本はロシアへの制裁に加わった。制裁を受けたまま、
どうやって経済関係を新しいより高いレベルに発展させるのか?
 日本が(米国との)同盟で負う義務の枠内で、
露日の合意がどのくらい実現できるのか、
我々は見極めなければならない。
日本はどの程度、独自に物事を決められるのか。

プーチン露大統領インタビューの詳報<下>
2016年12月13日 17時00分 読売新聞
 【山口会談】
 ――今回は安倍首相の故郷の

山口県で首脳会談ということだが。

 ご存じのとおり、私は日本に非常に大きな関心がある。
日本の歴史と文化に興味がある。
だから、日本に関する自分の知識を広げて、
日本に行けば楽しいと思う。
そこ(山口県)にはまだ行ったことがない。
安倍首相に詳しく説明していただけると信じている。

 ――温泉もある。

 (温泉に入ることは)考えたことはないが、
それは楽しいことだと思う。

 ――大統領は日本では柔道家としても既に非常に有名だ。

 柔道は昔から日本文化の一部であり続けている。
スポーツとしての意味だけではなく、哲学的な意味も含めて、
柔道というスポーツが日本に生まれたのは偶然ではない。
柔道は私の人生の一部で、とても大きな一部だ。
私は柔道を手始めに、
継続的かつ真剣にスポーツに取り組めたことがとてもうれしい。
だから、日本にとても感謝している。

 ――共同経済活動が平和条約締結に
つながる道ではないかと我々は考えるがどうか。

 人道的な問題の解決に関しては、
安倍首相から提案されたものだった。
彼はリマでの会談でその問題を提起した。
日本人がビザなしで、故郷である南クリル諸島を訪れることで
合意できるかと聞いてきた。
私は「賛成だ。可能だ」と答えた。
政治的な障害はないと思う。それは、経済分野でも同じ。

 ――大統領はかつて平和条約締結までの道のりを
柔道の試合にたとえたことがある。
今この時点では5分間の柔道の試合でどのぐらいの時点か。
もう延長戦に入っているのか。

 この場合、柔道にたとえるとどのような指示が出ているのだろう。
あなた方は私よりよくご存じだろう。「よし」「続けなさい」というわけで、
我々は交渉を続けることになった。

 ――北方領土の問題はロシアから見ても、
唯一残された国境線の問題だというふうに認識をしている。

 ロシアには領土問題は全くないと思っている。
ロシアとの間に領土問題があると考えているのは日本だ。
それについて我々には話し合う用意はある。

 ――私共が認識する限り、相当程度、首脳同士の対話がある。
だが大統領の話を聞く限り、
実質的な前進というものがまだ得られていないというのが印象だ。

 前進はある。安倍首相が提案し、
平和条約締結と領土問題とそれに関連した問題の
解決に向けての弾みをつけたようにみえる。
安倍首相が提案したのは、信頼と協力の状況を作り出すことだ。
安倍首相は、8項目の経済協力プランを提案し、
経済協力を新たな水準に引き上げるよう提案した。
安倍首相は人道的性格を持つ問題を
解決する必要性にも注意を向けた。

 国際安全保障の分野での協力についても、
話すことができるし、話さなければならない。
それも極東地域だけのことではない。

 大量破壊兵器の拡散による危険の増大に、
我々は不安を感じないだろうか。
たとえばミサイル技術が例に挙げられる。
それは世界にも地域にも一定の脅威をもたらしている。
露日両国には、両国の利害に関係する明らかな共通項がある。

 ――大統領は、この8項目の経済協力プランについて、
平和条約締結のための唯一の正しい道だと述べた。
これを平和条約締結の条件として一番大事に考えているのか。

 これは条件ではない。これは必要な雰囲気作りだ。
我々は中国と中国の友人たちと、国境問題について
40年交渉してきた。露中関係でも国境問題があった。
しかし我々は今日、
露中関係を戦略的パートナーシップに位置づけている。
しかも特権的な戦略的パートナーシップだ。
ロシアには中国との間でこれほどの信頼関係はかつてなかった。
中国は貿易・経済面での最大のパートナーだ。
我々は大規模で巨額の共同プロジェクトをいくつも実現している。

 ――中国との国境画定について、大統領は中国とは
深い信頼関係があったと。
日本との間にはまだその域には達していないのか。

 日本は我々に経済制裁を科した。
なぜウクライナやシリアの問題を
日本は露日関係に結びつけるのか。
日本には(米国との)同盟関係上の何らかの義務があり、
我々はそのことを尊重するのはやぶさかではないが、
しかし、我々は日本がどのくらい自由で、
日本がどこまで踏み出す用意があるのか理解しなければならない。

 ――大統領は(北方領土での)
共同経済活動については、どういうイメージを持っているのか。

 南クリル諸島についていえば様々な選択肢がありうる。
我々は1島でも2島でも、3島でも4島でも
共同活動を検討する用意がある。
重要なのは条件だ。
その条件はできるだけ自由なものでなければならない。
このことについては安倍首相が述べており、私も賛成だ。

 ――ロシアの法律の下でなのか、
日本の法の下でなのか、第3の機関を作って、
その法の下でなのか。大統領の考えは?

 日本人は非常に創造的で頭のいい国民だと思う。
いまあなた方は、議論に対するアプローチのすばらしい例を示した。
日本の主権下、島々で経済活動を展開する問題が提起された。
しかし第一歩がそうだと第二歩は必要ないことになってしまう。
問題はそれで終わりとされてしまう。我々はそういう合意はしていない。
我々は、まず政治的な性格の問題を解決し、
その後、平和条約締結問題を解決することで合意した。
あるいはこれらを一緒に解決しようと。
しかし、単に可能性のある協力の計画を描くだけでは、
我々は平和条約の締結問題、その基礎となる領土問題を
解決することはできない。だからこれは専門家による、
非常に入念かつ慎重で具体的な交渉で決められるべきだ。

 ――大統領は日ソ共同宣言を唯一、双方で批准した
法的文書だと再三強調している。
一方、条約締結後に歯舞と色丹を引き渡すと明記されている。
この2島の引き渡しはどういう形になるのか?

 それについて話すのは時期尚早だ。
あなた方は、いつも共同宣言を引き合いに出すが、
日本はその履行を拒否した。もし首相が、
日本政府がこの宣言に戻るというなら、我々は話し合う。
もしあなた方が注意深く共同宣言をご覧になれば、
9項で(2島)引き渡しについて書かれてはいるが、
どちらの主権で、どんな条件で引き渡されるかは
明記されていないことが分かるだろう。
非常にたくさんの問題が残っている。
共同宣言の枠内だけでも、まだ多くの作業が必要だ。
もし日本側が共同宣言の枠を超えるなら、
それはまた別のテーマだ。

 ――安倍首相とは多くの会談を重ね、
信頼関係があると思う。歴史が用意したいい局面で、
平和条約の問題を解決したいという思いはあるか。

 当然、我々はそれをめざしている。
なぜなら、対日関係における過去のすべての問題を
解決することは利益になるからだ。
我々の前進を妨げるものがあってはならない。

 ――安倍首相をどう評価するのか。
タフネゴシエーターか、よきパートナーか。

 私の印象では、安倍首相は第一に
(政治家として)立派なプロフェッショナルだ。
これは明らかなことだ。
非常に信頼できるしっかりしたパートナーで、
具体的で非常に重要なものごとについて合意することができる人物だ。
私は、そのような理解に基づき、
これからも彼との関係を築いていくつもりだ。

 ――日露関係のしめくくりに、一つ聞きたい。
ロシアに「静かに行くほど遠くに行く」ということわざがある。
遠くに行くことを日本とロシアの関係の強化発展におくなら、
前段はどういうことを想定しているのか。

 このことわざは、重要なことを決める際には、
急いではならないという意味だ。
これは拙速を避けて、良質な仕事をしなさいということだ。

 【対米、対中関係】
 ――トランプ氏が次期大統領に決まった。
すでに大統領は電話で会談している。
トランプ氏はどんな印象か。どんな会話をしたのか。

 周知の事実だが、次期米大統領は露米関係の正常化に賛成の立場だ。
我々としては、これを支持しないわけにはいかない。
我々は当然、それに賛成で、私自身すでに、公に述べたことだが、
これが簡単な課題ではないと理解している。
しかし我々は応分の努力をする用意がある。

 ――経済制裁の話もあったが、
米露関係の変化がそこにも影響が出ると期待するか?

 これは露米関係だけの問題ではない。
政治的な思惑による経済分野のいかなる制限も、
世界経済全体にとって極めて有害だ。
これは、ゲームの統一性とルールを破壊する。
つい先日、リマのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、
我々はこのことについて話した。
APECに出席したアジア太平洋地域のほとんどの首脳が、
異口同音に次のように述べた。
我々は、世界貿易の非常に厳しい危機のさなかにあると。
これは世界経済の秩序を破壊している要因のひとつである。
もし世界経済が閉鎖的な経済ブロックに分かれてしまえば、
経済活動および世界貿易の国際ルールについて
共通理解を得て、それを適用することはかなり難しくなる。

 ――ロシアと中国との関係がかなり軍事的にも
親密になってきている。
年次教書の中でも中国、インド、日本、アメリカ。
中国が一番大事な国との認識なのか?

 もちろん、まったくその通りだ。
ロシアにとって、中国は最大の貿易相手国だ。
これが第一だ。
第二に、露中には非常に大きな共同プロジェクトがある。
それは原子力エネルギー、物流インフラ、機械産業、貿易全般である。
航空産業でも良い共同プロジェクトがある。

 露中では、主な国際問題について立場が近いか、
意見が一致している。

 ――なぜ高い支持率を保てるのか?
 私が一生懸命に公明正大かつ誠実に、
また心から国にとって必要な成果の達成を
目指し働いているのを見ているのだと思う。
人々は私がすべてを達成可能ではないことに気付いている。
ロシアが非常に安全で、生活が良くなっていると
(人々が)感じられるよう頑張ることだ。
私は実際、そのように働くように努めている。

 ――日本で尊敬する人物は?

 もちろん、嘉納治五郎だ。
私のところには、嘉納治五郎の肖像画が数点あるし、
非常に美しい胸像もある。

 ――柔道の哲学とは。

 それは、私の手に負える質問ではない。
柔道を本当に知っている人、柔道を愛している人が答えるべき質問だ。

 ――改めて、日本の訪問を間近に控える中で、
日本人に伝えたいメッセージは?

 申し上げたいのは、露日両国には残念ながら
多くの未解決の問題がある。
しかし、ロシアでは非常に多くの人々が日本を知っているし、愛している。
全く無条件に確信しているのだが、我々はいつの日か、
必ずあらゆる問題を解決できるだろう。
しかしいつ実現するかに関係なく、すでにロシアに住む
何百万という人々が、誇張なしに、日本に引かれている。
日本の何百万という人々もそうだろうと思う。
お互いを知り合おう、互いに協力しよう、
有益な情報を交換しようという気持ち、そして未解決の
すべての問題を解決しようという心からの願いがある。

プーチンは2島返還準備、日本も政治神話解体を
1956年の日ソ共同宣言が還暦を迎える今年、
日ロが従来とは次元の異なる全く新しい関係を築いて
領土問題を解決できるか正念場を迎えている。

 果たして、12月15日の山口での安倍晋三首相と
ウラジーミル・プーチン大統領の日ロ首脳会談で
「北方領土問題」は進展するのだろうか。
 ここで、日本が現代ロシアにおける社会的背景を
正確に理解したうえで、ロシアが受け入れ可能な
妥協案を出さない限り、両国の全体的関係がいくら発展しても
領土問題は決して解決しないという認識が必要だ。
本稿では、ロシア側の妥協の限度を踏まえ、
山口会談以降の平和条約締結の可能性を探ってみたい。

ロシア社会の愛国主義化と憲法15条問題
 ロシア社会では、「クリル社会経済発展計画」や
クリル諸島を含む極東への移住推進策が着実に実施され、
南クリルにおける軍事基地の建設も進み、
クリミア併合後に
異次元とも言える愛国主義が急激に高まっている。
 ロシアの日本専門家の間でも、平和条約締結後に
歯舞、色丹を日本に引き渡すと明記した
共同宣言第9項に対する否定的な評価が増えている。
 また、領土問題に関するプーチン大統領の「引き分け」発言が、
第2次大戦でのソ連の対日戦勝利という文脈で受け止められ、
愛国主義団体から強く批判されるという事態も発生した。
こうした状況下で大統領が何らかの妥協をすることは容易ではない。
 同時に、日本ではあまり議論されていないが、
ウクライナ危機以降の欧米との対立状況のなか、
対日政策とは直接関係のないところで
ロシアの憲法裁判所が国際法に対する
国内法の優位性を強調すべきとの認識がロシア社会で出始めている。
 これまで、両国議会が批准した共同宣言には、
「国際法・条約は国内法に優先する」と規定する
ロシア連邦憲法第15条第4項によって
最上位の法的効力が与えられてきた。
 だが、筆者が本年10月に得た情報によると、
日ロ間の領土交渉を巡って連邦政府と緊張関係にある
サハリン州議会の関係者が
憲法15条4項を共同宣言9項との関係で問題視しており、
今後の憲法裁判所の判断次第では、
憲法15条が骨抜きにされて
共同宣言の法的優位性が崩れる危険性がある。

プーチンの覚悟と妥協の限度
 それでも、日本から共同宣言9項を基礎とした提案があった場合、
プーチン大統領には平和条約を締結して
歯舞、色丹を日本に引き渡し、
最終的に日本と国境線を画定する覚悟はある、と筆者は考える。
 確かに同大統領は9項について、
島々がどんな条件でどの国の主権のもとに
引き渡されるか書かれていないとの解釈を示してはいるが、
それは交渉の「言い値」だろう。
 プーチン大統領は、共同宣言を自ら読み込んで
9項の義務に従う用意があるとの結論に達し、
同宣言の法的有効性を文書に明記することを認めた
ロシアで唯一の指導者だ。
 2004年にはサハリン州社会団体の反対を引き起こしながらも、
「ロシアは批准された文書の義務を果たす」と閣議で公言した。
2014年には会見で「ロシアも領土問題を解決することに
心からの関心を持っている」と発言してきた人物だ。

諳んじて覚えるほど9項に執着していると言われる彼は、
義務を果たして真剣に問題を解決したいと思っているはずだ。
一方、プーチン大統領は2005年の国民との対話の中で
「第2次大戦の結果、南クリル(四島)は
ロシア連邦の主権下にあり、
それは国際法によって認められた」と発言した。
 こうして、ソ連崩壊後にアイデンティティの危機を経験した
ロシア国民を統合するための最重要論理として利用されてきた
「第2次大戦勝利」の中に「南クリルの問題」は明示的に位置づけられた。
 ロシア側の論理は「大戦の結果ロシア領となった
歯舞、色丹、国後、択捉のうち、歯舞、色丹については、
共同宣言の義務を履行して引き渡せる」というものだと考えられる。
 ロシアは1992年に日本へ非公式提案を出し、
領土問題で最大限に譲歩したとされる。
歯舞、色丹の引き渡しと国後、択捉の帰属問題交渉に関するものだ。
つまり、ソ連崩壊直後の最も力を落としていた時期でさえ、
国後、択捉は交渉なしに引き渡す約束はできなかった。
 そして、1990年代の一時期を除き、
ロシアはソ連時代から一貫して
「第2次大戦の結果」の正当性を主張している。
ロシア側の妥協可能な限界点は歯舞、色丹の主権引き渡しと、
国後、択捉に関しては
主権以外での自由往来、共同開発などでの合意であろう。

山口会談以降の平和条約締結の可能性
 では、いかにして日ロは平和条約を締結できるのか。
 安倍首相が領土問題解決のために用いる「新アプローチ」は、
法的・歴史的議論をいったん脇に置き、
大規模な経済協力を先行させて
信頼関係を構築する試みなどとされるが、
これでは何の説明にもなっていない。
 最終的に問題解決を目指すなら、
法的・歴史的議論は避けられないからだ。
 ロシア側から見て何が新しいのかという観点から考えてみると、
「新しいアプローチ」とは、
日本政府がロシア側の妥協の限度を理解したうえで、
歯舞、色丹の日本への主権引き渡しに関する交渉を進め、
国後、択捉については元島民をはじめ日本人にとって
主権が返ってこなくても実質的には変わらないような
条件を獲得することを目指し、官邸主導で領土問題を
一気に解決するアプローチであるはずだ。
 現段階では、主権で言えば歯舞、色丹の引き渡しで
領土問題を最終的に決着することで
両国世論を納得させられるほど完全に機が熟しているとは言えず、
12月の山口会談で平和条約を締結して国境線を引くことは難しい。
 山口会談では、「日露友好協定」のような合意文書の中に
特に経済・安全保障分野での持続可能かつ
不可逆的な協力関係を明記し、かつ共同宣言に基づいた
領土問題の解決枠組みを設定できるかがカギとなる。
 ここで、双方が合意している「4島の帰属の問題を解決して
平和条約を締結する」との基本方針の下で交渉を開始したならば、
共同宣言9項に基づく
日本への歯舞、色丹の主権引き渡し条件の協議と
国後、択捉の帰属協議
(日本が主権以外でのアルファを最大化する協議)が必要となる。
具体的には、テーマ別に3つの委員会を創設した上で、

次の解決の枠組みが考えられよう。

(1)「日ソ共同宣言検討委員会」で、歯舞、色丹について
共同宣言9項に基づき、以下のような具体的な交渉を始める。
「実際の引き渡し方法・期限」
「現島民に対する補償」
「当該地域のロシア側インフラ整備に対する補償
(日本が提案している「8項目経済協力プラン」で実現)」
「200海里経済水域における漁業問題」
「島々の大陸棚の鉱床開発問題」
「非軍事化」

(2)同時並行的に、
「クリル、サハリン、極東、シベリアなどでの
共同経済活動委員会」で、国後、択捉については
ロシアへの主権帰属を事実上認めたうえで、
「8項目協力プラン」をさらに具体化させながら、
次のような協議を行う。
「国後、択捉での共同開発・共同管理等特別地域の創設」
「全千島での自由往来(元島民のみならず日本国民全員が
日本の身分証明書で自由に訪問できる制度の創設)」
「全地域における特別経済区の創設・日本人のビザなし観光の実現」

(3)協議開始から3~4年後、両委員会の合意文書が出揃った時点で
「平和条約起草委員会」を創設し、国境画定以外の分野での
文言も詰める作業に入り、速やかに日ロ平和条約を締結する。
 それまでに両国政府が自国民に政策転換の理由
あるいは領土問題の経緯を丁寧に説明し、国境の画定が
両国民の生活環境を改善し未来を切り開くものだとの
「逆ベクトルの宣伝」を行う。
 山口会談で2017年1月からこのような協議を
スタートさせると宣言できれば、両国の関係省庁が
自国のみならず互いの国益を最大化するために真剣で
厳しい協議を短期間の内に重ねていく中で
信頼関係を構築していけるだろう。
 そして、「新アプローチ」によって
新次元の日ロ関係が出現するなか、日ロが平和条約を締結し、
国境を最終的に画定することがようやく可能となるであろう。

政治的神話の解体から日本政治の自律へ
 そもそも、「北方領土問題」は、戦後、日米同盟の下で
経済国家としての日本の発展を追求する「吉田ドクトリン」という
基本路線を守るため、特に冷戦期は東側陣営盟主の
ソ連との関係を調整する使い勝手の良い「弁」として、
国民を統合する共通の言説として利用されてきた政治的神話だ。
 政治的神話とは政治哲学分野で1940年代から
議論がなされてきた概念で、政治的な「嘘」ではない。
 「ある社会集団の成員が、彼らの政治的世界の中で
アイデンティティを構築する過程で持続的に利用する
共通の言説」のことであり、国民を統合するうえで
重要な機能を果たし続ける政治的神話もあれば、
比較的短期間に解体されるものもある。

1855年以降、正式に日本領となって以降は
一度も他国の領土となったことのない「固有の領土」である
歯舞、色丹、国後、択捉の返還要求は
歴史的に正当であるとするならば、なぜ日本政府は、
1875年以降「固有の領土」となった
全千島列島の返還要求はしないのか。

それは、サンフランシスコ講和条約で放棄した
千島列島の返還を要求することには法的な正当性がないからだ。
 「国後、択捉は南千島であり、
日本がサンフランシスコ講和条約で放棄した
千島列島に含まれる」と繰り返し表明していた日本政府は、
日ソ国交回復交渉が始まった1955年6月以降、
「南千島は千島にあらず」という奇妙な論理を確立していく。
 その後、1964年には千島列島から
国後、択捉だけを切り取ったうえで歯舞、色丹と一緒に
「北方領土」と呼ぶよう外務次官通達を出してシンボル化し、
返還運動を推進していった。
 いったんできた政治的神話を解体するのは容易ではない。
ソ連崩壊後も日本は四島返還論の旗を降ろすことができなかった。
 中国の台頭や北朝鮮の核問題、米国のプレゼンスの低下など
東アジアで安全保障環境が不安定化している。
国際秩序も米一極型から米中ロを中心とした
多極型に移行しつつあるとの認識が米ロの政治学者の間でも出てきている。
 こうした中で冷戦期に構築された
「北方領土問題」を敗戦のシンボルとして利用し続け、
米国との同盟に過度に依存してきたとも言える
日本政治が自律する機会を逃すことは、果たして日本の国益にかなうのか。
 領土問題解決に個人的な思い入れがあり、
強力な政権基盤を持つ安倍・プーチン両氏のような
首脳が今後両国に出てくる可能性は低いだろう。
 元島民の平均年齢が81歳を超え、共同宣言が
還暦を迎える2016年中に、山口会談で交渉の
モメンタムを生かして領土問題解決への
本質的かつ具体的な一歩を踏み出す必要がある。
 さもなければ、今後10年、20年と内政・経済・安全保障分野で
島々への実効支配が強まり、4世代目・5世代目の
ロシア島民が故郷の生活史を積み重ねていくなか、
ロシア政府が自らの意志とは関係なく
日本との領土問題を解決できなくなる状況に陥る可能性は高い。
 その意味で、安倍・プーチン政権下での
交渉が恐らく最後のチャンスとなるだろう。
 ロシアは「第2次大戦勝利」という政治的神話の一部である
「南クリルの問題」なる言説を解体し、
歯舞、色丹を日本へ引き渡す準備を整えている。
 日本側も旧思考から脱却して歩み寄り、
相互に妥協する必要がある。
今こそ、四島返還論の原則から抜け出て
「北方領土問題」を解体する「思考の革命」が求められている。

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